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栄和堂ブログ

鎌倉の端っこにあった書店「栄和堂」僕らはここを「ブックスペース」として本屋の再発明をしていきます。公式HP http://eiwado.space/

俗談 えーわ堂マスター

■ぼくの本棚(2)

今日は、商店会の歳末大売り出し抽選会に当番として出かける。朝の9時から13時まで外で立ちっぱなしで、風も強く寒くて震えていた。やっと温かいわが家に戻って一息つく。

さて、前回は好きなことや個人的な関係に関する本が中心であったが、自分で言うのも変だが持っている人の特徴が出る本もある。例えば、「酒呑みの自己弁護」(山口瞳)、「ただふらふらと」(永井明)、「人生の暗号」(村上和雄)、「チベット旅行記」(河口慧海)あたりだろう。

ぼくは酒が好きだから若い時からよく呑み歩いたものだ。まさに酔っ払って二日酔いになっては自己弁護の繰り返しだった。さすがに歳をとってからは落ち着いて呑もうという気になって、雰囲気のある銀座の路地の地下にあるバーに通った。そこで、出会ったのが永井明さんで「ぼくが医者をやめた理由」で有名になったお医者さんの作家でその時は船医をしていた。2004年の七夕の日に亡くなった。延命治療もせずに56歳の若さで逝ってしまった。けっして力まない生き方に感銘を受けたものだ。

「人生の暗号」では、遺伝子のON/OFF機能のことを知り、よい遺伝子を目覚めさせるには、「高い志」「感謝」「プラス思考」であるという言葉に納得する。宗教がかったところがあるので割り引いて考えなければいけないが、ぼくの楽観主義につながる話である。

なぜぼくがチベットに興味があるのかというと、40年前中国に技術指導のため半年近く滞在したが、その時に小旅行で行った先で紅衛兵にずたずたにされたポタラ宮を真似た建物を見てラサにある本物をぜひ見たいと思ったからである。

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ところで、先日かつて娘さんが栄和堂でアルバイトしていたという夫妻が来てくれた。娘さんの“異文化”に触れた話をおもしろおかしく話されていて、ぼくは彼女を直接知らないのだが、栄和堂体験がいまも良い思い出としてのこっているようですごくうれしかった。

その父さんがぼくの本棚にあった「チベット日記」を見つけてこう言った。ぼくの祖父はチベットに足を踏み入れた初めての日本人です。びっくり。そしてしばらくチベット話で盛り上がったのは言うまでもない。

こうしたことこそ、“本を介して人と人とがつながる”ということであろう。先週もつながりを感じさせるいくつかの出会いがあった。裕介が好きなOASISの本を楽しそうにめくっている高校生がいて、またぼくの同級生の女性の息子さんと職場が一緒という先生夫妻が来店し、西洋美術大全集を見ながら、そこにある絵と同じ構図の場面から始まる映画の話に跳んでひとしきり映画談義。そうしたら、旦那が本を持ってきてこの本の表紙の写真に自分が写っているという。ぼくの友達が持ってきてくれた本で、そんなつながりもあるという不思議。

さらに、カウンターでは店長の友達とぼくと同年輩の老夫婦が初めて会ったとは思えないし、また世代間のギャップを感じさせないほど打ち解けて会話をしている。他にも、様々な形で出会いがあり、つながりがある。徐々にではあるがそんな場になりつつあるので大切に育てていきたいと思うのである。